2015年10月8日木曜日

星になったカナーンドッグ


こんにちは。カナーンドッグのヒトミです。

先日、私たちカナーンドッグのシンボルマークのモデルになった、愛犬ロビが亡くなりました。
人間で言うと100歳を超えた長寿、まさに大往生でした。

「カナーンドッグ」というのは犬種名ですが、実はロビがカナーンドッグだったかは定かではありません。
もともと迷い犬だったんです。平田町駅で迷っているところを親切な方に保護されていました。

ロビがこの家にやって来たのは私が高校生の時でした。
卒業後は実家を出て一人暮らしすると決めていた私は、私不在になった実家で両親の会話のネタにでもなれば、と、私の身代わりに犬を置いて行こうと企み密かにお金を貯めていたのです。

でも高校生の貯めるお金なんてしょせん微々たるもので、ペットショップに売ってるような犬はまったく手が届きませんでした。
「甘かったか」と肩を落としたその時、ペットショップの壁に掲示してあった迷い犬のはり紙を見て、勇気を振り絞り電話をかけたところ、長い時間引き取り手の現れなかったその子は私が無償で譲り受けることになったのです。
自転車の前カゴに入れて連れて帰って来る時、何度も暴れて道路に飛び降りようとしたのを、「ここで死なせたら元も子もない」と必死で押さえやっとの思いで家に辿り着いた。
私の嫌いなサプライズってやつで、突然のプレゼントに犬好きの母はすぐにメロメロになりました。
かねてから「俺は動物は全般的に嫌いだ」と言っていた父も、なんだかんだ愛着が湧いてきたようで、嫌い嫌いと言いながらもずいぶん世話を焼いてくれた。
私のもくろみ通り、常に会話のネタになってくれたのです。
かなり長い間、私はたまの帰省の時にロビの成長を確認する程度だったけれど、4年前実家にケイスケと共に移り住んで来てからは、私たちも毎日一緒に暮らすようになりました。

ある日、「世界の犬辞典」みたいのを見ていたらロビそっくりの犬が載っていて、それが「カナーンドッグ」という犬種だったんです。
体格や毛並、性格も書いてある特徴そのまま。イスラエル原産で軍用犬や地雷探知犬として長年厳しい環境で淘汰されてきた、なんて記述には「やっぱり違うかもしれない」と弱気にもなりましたが(笑)
それでも、遠い祖先に思いを馳せてみると、イスラエルの地から巡り巡ってやっとこの日本の片田舎に辿り着いたとしたら、何か身近な物事にも壮大なストーリーがあるように感じるではありませんか。
カナーンドッグ、そうだ、そういうことにしとこう、と。我ながらだいぶこじつけたね。
それで、バンド名にも勝手に採用させてもらい、ロビをモデルに消しゴムハンコを彫り、グッズを作ってはほくそ笑み、まぁただの親ばかです。

特にここ1年の老いは急激で、足腰もずいぶん弱り、ピカピカに美しく艶光りしていた黒白の毛には全体的に白髪が混ざり、両目は白内障ですっかり濁り、耳も遠くなっていました。
今年の夏の猛烈な暑さもかなりキツかったようで、昔は1時間以上欠かさず朝夕2回、飛び跳ねるように行っていた散歩も、家の庭をヨチヨチと歩いて済ますようになり、ほとんどの時間を家の中で寝て過ごす毎日が続きました。
だけど、そんな夏もなんとか乗り越え、涼しくなってくると徐々に元気を取り戻し、最後の一週間は家の外まで散歩に出かけられた日もあったし、もしかしたら目も見えているんじゃないかと思う瞬間もあった。亡くなる数日前に宅配業者に向かって久々に吠えた一声はなかなか勇ましく、今年も一緒に年を越せるのではないか、と期待が膨らんだところでした。

だから私が仕事から帰ってきて亡くなったことを聞いた時は驚いたけど、息のあるうちに病院に連れて行って手を尽くしてもらえたこと、、死に際をしっかりとロビが一番好きで信頼していた母親に見届けてもらえたことを聞いて一安心しました。
近いうちにこういう日は来るだろうと覚悟していたけど、何よりそこだけが気がかりだったのです。

「そうか偉かったね~!立派だったね~!」と撫でた遺体はけっこういつまでも柔らかくほのかに温かくて、今にもむくっと起き上がってきそうな感じでした。

翌日、動物供養の火葬場へ運び、見送りました。星になったカナーンドッグ。
でもつい、まだそこらへんにいそうな感じがしてしまいます。

ちなみにケイスケの白黒のストラトはカナーンドッグカラーということで、ロビーニョと呼んでいるらしい。(なぜ後ろに“ーニョ”が付いたのかは不明ですが)
ロビ亡き後も吠え散らかしますと言っていました。
私も、ロビの立派な最期を敬って、あまりメソメソしたり悲しんでばかりいないようにと思っています。
ロビは充分天寿を全うしたんだから、私も日々を精一杯楽しく生きないとね。

といいつつ、たまにうっかり思い出してはジャバーっと溢れ出る涙の蛇口が閉められない日々がもうしばらく続きそうです・・・