2019年8月27日火曜日

はじめてのおつかい

こんにちは。カナーンドッグのヒトミです。

このブログも毎回ただ言いたいことを書いてますが、
今回は特に、独り言みたいなもんです。私が新しく曲を作る時の心境、を書きます。

私がここ数年一曲通しで作詞・作曲した曲は、
ヨニンミマンで16曲、カナーンドッグで15曲です。
この他にインストの曲もいくつか作ってるのでもう少しありますが、
とにかく30曲超えました。

それぞれ作り方に多少違いはありますが、基本的には、歌詞とメロディがしっかりハマってくれば、だいたいのアレンジまで構想をまとめて、昔から使い慣れているMTR引っ張り出してきてdemoを録り、その音源をメンバーに送ります。
最近ではカホンなら実際叩いてマイクで録りますけど、ドラムはCubaseで打ち込んでいます。
後はバッキングのギターを弾いて、マイクで歌を入れて、demoの段階でイメージがあればベースも入れることもあります。リードギター以外を一通りって感じです。

曲を作るのは、毎回とっても消耗します。産みの苦しみはあります。
まず、私は、普段考えていることしか、歌にはできません。
もやもやと思っていることがあって、「こういう感じ、わかるかなー…」というビミョーな感覚、イメージ、そういうのをうまく歌にできないか、どうやって言うか、どんな曲調で、どんなメロディやリズムに乗せて、どうやって違和感なく音楽にするか、四六時中悩んでいます。まず自分の言いたいことが何なのか整理がつくまで時間がかかります。

歌詞は日記じゃないんで、「そのまんまやないかい!」と何の情緒も無くてもいけないだろうし、かと言って、キレイ過ぎても白々しいし、正直さを保ちつつ何とか「詩」にならないか、口に出してちょうど心地良い響きは無いか、もっとメロディとピッタリ一致しないか、選び出すのに大変苦労します。それに、他人に腹を割って打ち明けるようなもんですから、ハッキリ言って恥ずかしいです。恥を捨てて書かないとしょうがありません。
メロディや曲調は、「毎回毎回どれも同じやん」と言われると嫌なので、目新しい感じのも書きたいとは思っていますが、やっぱり私っぽい感じは出てしまうと思うし、多少メロディやコード進行のクセとか特徴みたいのは出てもいいか、とも思っています。

私はいつでも作る気になれば新曲作れるぜ!とはいかず、どう頑張ってもできない時はできません。だからこれを仕事にするのはまったく無理です。曲のストック数なんかも話にならないでしょうね。
だけど「これ1曲近いうちにできるぞ」というモードに入ることはあります。
あまりにもおぼろげだったイメージが、何かの糸口から部分的にクリアになり始めて、徐々にパズルのピースがハマり始め、試行錯誤してるうちに全貌が見えてくる、そうなると完成までのスピードが一気に加速します。
しかしそうなると、仕事も上の空(ゴメン)、夜も寝ていられません。
喉に小骨が刺さっているようで気持ち悪いのです。言いたいことはこうじゃない、何か別の言い方があるはずなのに…とか、文字数が合わない、とか、言いたいことは言えるけど譜割が不自然だとか、類義語辞典を何度も引きなおして、暗闇の中煌々と光るスマホとにらめっこで、書いては消し、書いては消しの繰り返しです。寝不足です。

そうしてようやくメロディと歌詞がすべてハマって(と思ってもまた直しを入れることも多いですが)、demoを録り終えると、号外でも配り倒したいぐらいの気分になります。
「ついに生まれました!以後お見知りおきを!皆様のお力でより良い子に育つよう、ご指導ご鞭撻を!よろしくお願いします。」という気分です。私は子供はいませんので本当にはわかりませんが、親心みたいなもんが芽生えるのは確かです。
この子はなかなかできがいいねぇ、みたいな子や、この子はまぁちょっと不器用だけど根が正直でかわいいよ、みたいな子や、色々あります。

そして私の頭の中から外の世界へ産み落とした後は、いつも急に不安が襲ってきます。
それはまるで、我が子をはじめてのおつかいに出して、「いってらっしゃい」と送り出してから、後方の電柱の陰からそーっと見守るような心境です。(実際にはやったことないけど)

話しかけてるのに無視されないか。冷たくあしらわれないか。
受け入れられるのか。
もちろん、嫌われることだってあると思う。
外に出れば、褒められてばっかりなわけないし、批判を受けることだってあるし。
「特に個性のない普通の目立たない子だったから印象にないですね」みたいのもキツイけど、あるよね。
でもできれば、できれば、みんなにかわいがられて笑顔で帰ってきてもらいたい、みたいなことあるじゃない。

私は今、新しく1曲、はじめてのおつかいに出したばっかりなので、とっても心配なんです。